獣医さんとお薬

こんにちは、ママです。動物にとって、獣医さんって苦手な存在ですよね。インターネットでも、お散歩かと思いきや獣医さんへ連れて行かれ、テンションだだ下がりのワンコの記事を見かけます。猫にはそういう子はいないのか、猫と獣医さんについての記事は、ママが見ている範囲では、受診すべき症状の紹介など、ハウツー系のものが多い気がします。我が家のゾーイとウーゴは、正直なところ獣医さんは勘弁と思っているタイプだと思います。でも、よく頑張っています。

ゾーイは、2歳から3歳にかけて血尿を出した以外は体調を崩すことはなく、健康優良児です。今は療法食を食べているせいか、予防接種以外で獣医さんにかかることはめったにありません。ウーゴは、アメリカンカールならではのくるりんとした耳をきれいにしてもらうため、月に一回獣医さんに通わなくてはならない運命です。

ゾーイは、子どもの頃に受診したときには、何をされているのかも気にかけず、愛嬌を振りまきながらされるがままになっていました。一度、獣医さんの手にじゃれて、カプッと噛んでしまったことがありました。あわてて噛んだところをなめて介抱していましたが、獣医さんはそんなゾーイの様子にクスッと笑って「ありがと。」と言ってくれました。これを見て、パパとママは、この子は仮に大きな病気になってもストレスなく受診できるかもと期待を持ったものでした。

ところが、しばらく受診しないうちにそのときのことを忘れてしまったのでしょう。また、育っていくうちに三毛猫特有の警戒心が出てきたので、そのせいでしょうか。獣医さんに連れて行くときは緊張し通しです。ある時なんか、診察後の治療のためママが待合室で待っていると、とんでもない勢いの「うにゃぁーーおーシャー」という声が聞こえてきました。びっっっ・・・くりしました。はじめは信じられませんでしたが、病院内にほかに動物はいなかったので、確かにゾーイです。ゾーイが、ママの姿が見えなくなったせいで自己防衛本能がはたらいて、臨戦態勢になったと思われました。ちなみに、「シャー」は威嚇の声です。診察室へ戻ったとき、獣医さんは本当にびっくりした顔で「怒られちゃった!」と言っていました。

先生ごめんなさい、でもどうしようもないんです。ゾーイもかわいそうに、普段はおっとりしたお嬢様なのに。ゾーイに受診の負担をかけないようにするために、我が家では病気や事故を防ぐための対策をできる限りしています。ちなみに、ゾーイは、トリミングサロンでも恐怖の表情を浮かべて逃げ出しそうになったため、お手入れはすべてママがしています。

甘えん坊のウーゴは、獣医さんに立ち向かったりはしません。食物アレルギーでおなかがかゆくなって受診したときも、血尿の時も、嘔吐をくりかえした時も、耳そうじの時だって、一生懸命我慢します。我慢するけれど、耳そうじではどうしても足が宙をかくように動いてしまいます。獣医さんは「そだね~、いやだね~、フンフフンフンフン」と言いながら、手早く掃除を済ませていきます。「フンフフンフンフン」は鼻歌です。獣医さんも一生懸命場を和ませて、ウーゴの緊張を解こうとしています。

ですが、ウーゴだって我慢できないときもあります。そんなとき、ウーゴは「ぼくはもうイヤです!」とでも言うように、かけられたタオルをかなぐり捨てて体をよじります。獣医さんはやり残したところがあるとスキを見てやってしまいますが、そうでないときはここで終わりになります。ウーゴは耳そうじがよほど嫌いらしく、帰ってくると、ゾーイに泣きついて、耳のそばを優しくなめてもらいます。そんなことがあって以来、ウーゴはゾーイに一目置いています。

ゾーイもウーゴも、こんな風に、それぞれのやり方で難局を乗り越えていきます。ひとたび終わりとなれば、二人とももう後までひっぱることはありません。診察が終わって油断している獣医さんに仕返しすることもなく、「もう帰ります」と言わんばかりにぱっと気持ちを切り替えて、いそいそとキャリーケースの中に入っていきます。こういうところは、猫ってすごいなーと思います。

血尿や食物アレルギーなどでの治療には、粉薬がついてきます。朝晩の二回、お薬の袋に水を少し入れて溶かして、針なし注射器で吸い上げて準備をしたら、抱っこしてお口の横から入れていきます。良薬は口に苦しといいますが、この獣医さんが処方してくれるお薬はなかなかイケルようで、二人ともおとなしく飲みます。いや、ウーゴは大好きです。ゴクゴク飲みます。ゾーイは、気分によって、パパの作ってくれた段ボールハウスに入って、ママの差し出す注射器からお薬を飲みます。

二人とも、お口の端から入れなくても、真っ正面から飲んでくれる時もあります。普段抱っこは好きではありませんが、自分だけ飲むので、特別感があるからお薬好きなのかもしれません。ウーゴは、ゾーイだけがお薬をもらう時も自分のお薬だと思って、「ぼくお薬飲む~」と、準備をしているママにまとわりつきます。そのお薬がゾーイのだと分かると、そばでうらやましそうに見ています。二人とも、お薬を素直に飲んで、手がかからなくていいけれど、変な猫たち。

ちなみに、「レボリューション」って知っていますか?フィラリアを予防し、マダニやノミなどを駆除するお薬で、シーズン中は月に一回、背中に落とす液体のお薬です。投薬する日はもう大変。パッケージを開けると接着剤のようなにおいがするのが分かります。パパやママにもはっきりと分かるのですから、嗅覚が優れている猫には、たまったものではないのでしょう。パパと協力して一人ずつ捕まえて投薬するのですが、二人とも必死に逃げ惑います。でも、最後は二人とも観念して捕まります。逃げるうちに増幅される恐怖に耐えられないのかもしれません。かわいそうですが、これも二人のため、やるしかありません。心を鬼にして素早く捕まえます。恐怖が高まる前に。

病気の時には頼りになる獣医さん、でもできれば、受診しないで済ませたい獣医さん。複雑な存在ですね。でも、受診の必要がないように普段の健康管理をしっかりしていきたいものですね。