キャットタワーのハンモック

こんにちは、ママです。ママは猫のハンモックが大好きです。いつか猫を買うようになったら、ハンモックを買って猫がくつろぐところを見たいと、ずっと思っていました。ゾーイが家にきてまもない頃、高いところが好きなゾーイのためにキャットタワーを買ってあげました。高さが2mもあって、もちろんハンモックもついているものです。そのほか、丸いカップが頂上についていたり、3段の階段状になっていたり、おもちゃの麻縄がつる下がっていたり、一番下には爪とぎと中に入って遊ぶ小さなお家までついていました。

ゾーイはまだほんの小さい子猫だったのに、どうやって登ったのか、キャットタワーの頂上にあるカップの中に入って、ちょこんとこちらを見ていたものです。自分で登ったのに、はじめはそこから降りるのが少し怖かった時期もあり、ママが抱き上げて下ろしてあげていました。つる下がっている麻縄は、ゾーイはどうやって遊んでいいか分からず、両手で持って考えていました。小さなハンモックで丸くなり、一生懸命寝ているゾーイを見ると、かわいくてかわいくて、そっとなでてあげながら、いつまでも見ていました。

でも、大型猫として知られるノルウェージャンフォレストキャットとメインクーンのミックスのゾーイには、いつかそのハンモックが使えなくなる日が来ることが予想されました。今はハンモックにも余裕があるけれど、大きくなると8kgにもなる大型猫二種の血を引くゾーイは、体が完成する3歳になるころには、きっととてつもなく大きくなっているに違いない。そうしたら、ママとゾーイの楽しみがなくなってしまう、と戦々恐々でした。案の定、だんだんゾーイが大きくなり、1歳を過ぎる頃にはハンモックにもう余裕はありませんでした。

予防接種のためゾーイを獣医さんに連れていったある日、ひょんなことからゾーイの体の大きさについての話になりました。ゾーイの頭骨は小さいので、成長してもそれほど大きくならないだろう、と獣医さんからは言われました。へえ、そうなんだ。頭骨の大きさで大人になった時の体の大きさが推測できるなんて。確かにゾーイの顔はとても小さいです。ゾーイの場合、大人になっても4kg台が適正だということでした。そうか、それなら、もしかしたらハンモックはそのまま使ってもらえるかもしれないな、とパパもママも少し安心しました。

ところが、ウーゴがこのうちの子になってからは、ゾーイとのハンモック争奪戦になってしまいました。やっぱり猫はハンモックが好きなんだな。人間だって、ハンモックは気持ちいいもんな。でも、ハンモックは一つしかありません。見ていると、当時ゾーイに対して強い態度で接していたウーゴに勝算がありそうでした。これだと「ゾーイの世界をウーゴが奪う」ことになってしまう。ウーゴを迎えるときに獣医さんにアドバイスされたように「ゾーイの世界を守る」ため、パパとママは相談して、なんと、二つ目のキャットタワーを買う決断をしたのです!なんて大甘な飼い主でしょう。

二つ目のキャットタワーは、高さは180cm、浅めだけれど広いハンモックが二つ、頂上付近の同じ高さについているものでした。これで、一人に一つ、くつろぎの場所をあげることができます。猫の世界では高低差が上下関係に直接関わるといいますが、同じ高さにあれば、二人の間で上下関係ができることもありません。さらに、はじめのキャットタワーは麻素材でついた猫の毛を取るのが大変でしたが、新しいものは起毛素材で、粘着シートで猫の毛が取れ、掃除機をかけると細かいゴミまで取れます。

ところが、さあ、これで二人にハンモックをプレゼントでき、ママの夢見た「猫のハンモックライフ」も続く、と思いきや、ウーゴがすべてのハンモックをほしがって、近づくゾーイを追い払うようになりました。体は一つしかないのに、ウーゴは心では納得できないのでしょう。三つあるどのハンモックにゾーイがきても、追い払います。また、この頃には、ゾーイは体が大きくなり、はじめのハンモックを使わなくなっていました。そこも当然のようにウーゴが寝るようになりました。これではゾーイがかわいそう。パパとママは悩みました。

我が家では、「先住猫のゾーイが優先、ゾーイとウーゴとは、それぞれいい方法を探していく」という決まりをウーゴに覚えてもらう過程で、二人のいさかいがひどくなったときにはママが割って入ってみんなで遊ぶようにしていました。でも、ハンモックを巡るいさかいでは、ハンモックに入りたくて下段から登ってくるゾーイをすでに上段にいるウーゴがたたいて追い払おうとするなど、ゾーイは一方的にやられてばかりでした。これを続けていると、ゾーイとウーゴの立場が逆転しそうで、パパとママはハラハラしていました。

そんな訳で、しばらくの間、ゾーイはハンモックに入ることができませんでした。ママは二人がハンモックに入ったら踏み台を出してきて登り、目線を合わせ、二人に「ちゅ~る」をあげたりじゃらしで遊んだりして、一人一つのハンモックで仲良く過ごすための工夫をしました。ゾーイは時には古いハンモックに入りたそうでしたが、やはり小さいようで、すぐに出てきてしまいました。そんな状態であっても、ウーゴは遠くから駆けてきて、ゾーイを追い払います。ゾーイにもママにもつらい日々でした。

そうしているうちに冬になり、ハンモックのある上部に暖房の風が当たるようになりました。ウーゴは新しいハンモックでスピスピ寝ています。そこへゾーイがそーっとやってきて、隣のハンモックに入りました。ウーゴは気づいたのでしょうが、面倒だったのか、ゾーイを追い払うこともなく寝ていました。ママは踏み台を持ってきてゾーイをゆっくりとなでました。ゾーイのつかの間の、ハンモックでの休息です。小さい声でママの好きな童謡「七つの子」を歌ってあげました。ゾーイが小さい頃から、時々歌ってあげていた歌です。ウーゴがうっすらと目を開けました。ママは歌いながら、もう片方の手でウーゴのこともゆっくりとなでました。ウーゴはゾーイを追い出したりせず、じっとしていました。

ママは歌となでるのをやめ、そっと踏み台から降りてみました。二人はそのまま寝てしまいました。こういう経験を積み重ねていけば、ウーゴもきっとハンモックを一つゾーイに返してくれるかもしれない。正解の見えない中、毎回が真剣勝負です。

今では向かって右側のハンモックがゾーイ、左側がウーゴと場所が決まり、仲良く寝ています。でも、時々ウーゴは意地悪(?)をして、ゾーイのハンモックで寝ます。でも、ゾーイもウーゴに「そこあたしのとこよ」って言えているのでしょう。しばらくするとウーゴは定位置に戻ります。よかった。また、ゾーイは前からある小さいハンモックで休むすべを見つけたのか、きつく巻いた「アンモニャイト」の状態でお昼寝ができるようになりました。

二人がこうなれたのには、毎日の生活の中で、ゾーイがウーゴにやられても優しく接して、ウーゴがゾーイに一目置くようになったのも大きな理由だと思います。ウーゴにとってはじめは「パパとママの愛情を取るイヤな子」だったゾーイが、いつの間にか「優しいゾーイお姉ちゃん」となりました。今では愛情もハンモックも半分こ、ゾーイに子分のように付き従っています。

最近、ゾーイとウーゴが「七つの子」以外にもアイルライドの女性歌手エンヤさんの歌が好きなことが分かって、時々CDをかけてあげます。ハンモックで二人並んで、エンヤさんの透明感ある美しい歌声を聞きながらうっとりする様子を見ると、ママも幸せになります。

ちなみに、ごはん好きなゾーイは、4歳を迎えた今では5.3kgになってしまいました。最近ちょっと体の重いママと二人で「ポッチャリーズ」結成、ダイエットに励んでいます。