オレはやるぞ、そうかやるのか、やるならやらねば~「動物のお医者さん」の紹介

こんにちは、ママです。今日は、動物好きのための名著、漫画「動物のお医者さん」の紹介です。シベリアンハスキー犬と飼い主や、周りの人たち・動物たちのお話です。古い漫画ですが、大流行しましたよね。H大に憧れた人も多かったと聞きます。ママは大人になってから愛蔵版を買って読みました。今でも時々読んでいます。

「動物のお医者さん」は、2003年にテレビ朝日で、吉沢悠さん主演でドラマ化もされました。作者の佐々木倫子さんは、TBSで2019年に石原さとみさん主演でドラマ化された「Heaven? 〜ご苦楽レストラン〜」の作者でもあります。ああそうか、と思う方も多いのではないでしょうか。

「動物のお医者さん」には、本当にたくさんの動物が出てきますが、どれも表情が豊かです。しかも、本当にこんな動きをするんだろうな、こんな顔をするんだろうな、と思うくらい、鋭い観察眼を通して描かれていると思います。猫好きなママは、もちろん主人公ハムテルのおばあさんが飼っている猫ミケの大ファンです。あの、いかにも柔らかそうに書かれている毛と、ぷっくりとしたヒゲの付け根がたまりません。

今回は、ミケを中心に、「愛蔵版 動物のお医者さん」1~6巻を紹介していきます。ちなみに、今回の写真もふさわしいのがないので、かわいいゾーイとウーゴをお楽しみください。

まずは作品の全体像から。このお話は、ひょんなことからシベリアンハスキーのチョビを飼うことになった主人公の高校生ハムテルが、大学に入って獣医さんを目指すお話です。この漫画を書くに当たっては、綿密な調査をしているとのことで、大学での実習や専門課程での講座のようす、獣医学部の日常、動物たちとのふれあいが、実感をもって、コミカルに描かれています。ハムテルはおばあさんと二人暮らし、家にはチョビの他、三毛猫のミケ、怖いニワトリのヒヨちゃん、スナネズミたちがいます。

ミケは、しっかり者の「女の子」です。家の規律を整え、まだ小さかったチョビに、人間では太刀打ちできない絶妙なタイミングでの、しっかりとした教育的指導も怠りません。そのおかげか、チョビは素直な女の子に育ちます。でも同時に、ミケは猫としての本能が鋭いという一面も持っていて、時々理性が吹っ飛んでしまうことも。そんなところはゾーイみたい。

近所のお店でネズミを狩ろうとして、お店の人がネズミを捕るために仕掛けてあったハエ取り紙にからめ取られてしまったり、池のカエルを狩ろうとしてハスの葉に手をついてしまって溺れたりと、しっかり者の反面おっちょこちょいなんです。

でも、おっちょこちょいとも言えるけれど、真面目なんですよね、ミケは。自分は一生懸命やっているのだけれど、なんか上手くいかない。そのくせ、痛い目に遭っても、またネズミを捕ろうとするなんて、ママは「真面目」以外に形容できません(笑)。蛙を捕ろうとしたときだって、「攻撃範囲からはずれているけど、気迫でいけるかもしれへん」と果敢にチャレンジしたんです。

ミケにはどうしようもない「不可抗力」で、大変な目にあったこともあります。動物病院で手術予定だった猫と間違えられたり、ゴミ袋の中に入っているのを気付かずにゴミに出され、大冒険したりと、「いたいけな子猫」の頃から苦労しているんです。

ハムテルの友達、中川の飼い猫ガブちゃん(ヒトをガブリガブリと噛むので、ガブリエルという名前)に対して教育的指導を頼まれたミケは、「人間でいえば小笠原流家元のようなキモチで模範を示してきた」のに、本当は中川が「ミケがこのへんの猫の女ボスだから」という理由でガブちゃんを弟子入りさせたのを知って、「失礼なやっちゃ~」と怒り、傷つきます。

そんなこともあるけれど、ミケが結果的に得していることもあるんです。家を出てしまったチョビが近所のブルドッグのジョンに襲われていたとき、ミケがジャンプからの爪攻撃でチョビを助けました。ミケにしてみれば、以前からのしがらみで、いつかジョンに仕返しをしてやろうと思っていたので、いい機会だったのかもしれません。やったね、ミケ。

この漫画の醍醐味は、犬は犬らしく、猫は猫らしく描かれているうえ、人間はたいてい自由奔放で、ミケやハムテルなど真面目なキャラクターが割を食う(けれども消化していく)という構図の中で、キャラクターが織りなす「ザンネンな感じ」への共感なんだと思います。動物たちはみんなたくましく描かれています。我が家のゾーイやウーゴでは、とても太刀打ちできないくらい。どのお話もテンポよく、おなかの底から笑える仕掛けが多くあります。

他にも、ハムテルの友達の二階堂の弟妹に飼われることになった白猫たちや、菱沼さんの飼い猫なのに菱沼さんには絶対なつかないフクちゃん、クールなニャオンなど、猫がたくさん出てきます。猫以外にも、気が弱くてすぐおなか痛くなっちゃうけれど「売られたけんかは買う」馬のリュウセイ号や、自分より小さな馬に色気を出すセイラムライト号、根がとても明るくて人間好きな犬ぞりチームの犬たちなど、みんな愛おしいです。

人間だって負けてはいません。個性の強いのはおばあさんや菱沼さんだけかと思いきや、おばあさんによく似ている、自由奔放の鏡のようなハムテルのおかあさん、アフリカ大好きで奇抜、そしていつも学生に迷惑をかける病院講座の漆原教授、そんな漆原教授にどこか憧れとコンプレックスを抱く公衆衛生講座の生真面目な菅原教授など、なかなか個性豊かなキャラクターがそろっています。

舞台は北海道。この冬休み、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

書籍情報

愛蔵版 動物のお医者さん 1~6巻 佐々木倫子 白泉社 2013年

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