こんにちは、ママです。外出から戻ってきたら、ゾーイが「クルクルル・・・ニャーン」と言いながら階段を駆け下りてきました。ゾーイはいつもお出迎えしてくれるのですが、以前はあまり鳴きませんでした。でも、最近特に甘えん坊さんになっているせいか、こうして鳴くことが多いです。ママをまっすぐに見て小声で鳴くところは、見ているとキュンとしてきます。
さて、今回は、岩合光昭さんの写真集「ネコライオン」((株)クレヴィス、2013年)の紹介です。以前、パパとデパートでやっていた岩合さんの写真展を見に行ったことがあります。大小さまざまの大きさの写真がたくさん展示されていて、どの猫もカワイイ。猫の毛や顔のパーツが、細部にわたって間近で見ているかのようにわかり、背景に猫の毛色が映えていて、とてもきれいでした。大きく引き伸ばされた写真は迫力満点。子猫の躍動感や大人の子のまったり感が、見ていて胸に迫ってきました。
ああ、ママも岩合さんみたいに上手に写真が撮れたらな。ゾーイとウーゴのかわいさを余すことなく残せるのに・・・。岩合さんはプロ中のプロだから、岩合さんの1,000分の1、いや、1,000,000分の1でいいから、上手に写真を撮りたいな、と思いながら写真展を出ました。この本は、その展覧会のショップで買ったものです。
表紙は、猫とライオンの顔を縦半分に切って、大きさを合わせてつなぎ合わせた写真になっています。右側がライオン、左側が猫。でも、種が違っても、こんなにぴったり合うものなんですね。フムフム、猫とライオンの顔のパーツの比率はほぼ同じってことか。帯には「ネコは小さなライオンだ。ライオンは大きなネコだ。」とあるように、猫とライオンは同じネコ科ですもんね。
ページをめくると、猫とライオンの対比が続きます。遠くを見つめる猫と遠くを見つめるライオン、二匹の子猫と二匹の子ライオン、たくさんの猫とたくさんのライオン、子猫をくわえる母猫と子ライオンをくわえる母ライオン・・・。大人といってもやっぱり猫はあどけなく、ライオンはしっかり者に見えます。
でも、子猫と子ライオンの興味深そうに何かを見ているクリンとした目は一緒。屋根や木から落ちそうになりながらも、一生懸命つかまって体勢を立て直そうともがいている姿は、猫もライオンも一緒。適度に間隔を開けて、お行儀よく並んで座っているところは、猫もライオンも一緒。そんな違いや同じところを見つけていくと、普段よく見ている猫のことも、年に一回見るかどうかのライオンのことも、気付くことがあります。
猫がどうしてかわいいか。これは、「ネオテニー(幼形成熟)」といって、子どもの頃の形や性質を残したまま、大人になる(精神的・性的に成熟する)ことが関係しているそうです。人間もチンパンジーの「ネオテニー」だといわれているそうです。猫の「ネオテニー」の主な特徴は、大人になってもニャーと鳴くこと、顔のパーツが頭部の下部に収まることなどがあるそうです。
確かに、我が家のゾーイはサイレントニャーや、サイレントニャーからの「・・・ニャ・・」という鳴き方をよくします。ウーゴだって、「クルルーン」とか「クルル・・・ニャ!」と鳴きます。そんなときは二人とも、パパやママを直視しています。それに、特にウーゴがわかりやすいのですが、おでこが広く、顔のパーツが頭部の下半分に収まっています。
猫がニャーと鳴くのは、本来は母猫による保護が必要な時期だけなんだそうです。それに、おでこが広いのは、人間の赤ちゃんも同じですよね。大人になるに従って、頭部に対するおでこの割合が狭くなっていって、「大人の顔」になります。なるほど。猫はこんな作戦を練って、生き延びてきたんですね。なんか、愛おしくなってきます。
「ネコライオン」でも、お母さんに甘える子猫・子ライオンの写真がありますが、猫はお母さんも子どもも確かにおでこが広くてかわいいです。お母さんライオンはおでこが狭くて、なんだか精悍な感じ。もちろん、子ライオンはお母さんよりもおでこが広いです。きっと、大人になったらお母さんライオンのようにたくましい顔つきになって、リーダー争いをしたり、次の世代の子どもたちを育てていくのでしょうね。
横から見ると、大人も子どもも、猫はライオンよりも鼻筋が短い。両目と鼻の先を線で結んで三角形を作ってみると、よく分かります。これも「ネオテニー」なのかもしれません。でも、ライオンも、あくびをしている写真を見ると、牙はあんなに頑丈そうなのに、並んだ前歯が小さくてかわいい。ライオンは前歯を何に使っているのかしら?全身を見回しても、前歯の持つかわいさだけ、精悍な全身と比べてなんだか異質な感じがします。
写真集を見ていると、行動については、猫もライオンも似ている気がします。獲物に飛びかかる様子や子ども同士で遊ぶ様子、一息ついてあくびをしている時の無防備さ、毛繕いの方法やその時の恍惚とした表情、無心に爪とぎをする様子、雌と仲良くしようとするオスの、できるだけ「さりげなさ」を装っているようなアプローチ、高い場所があれば登るところ、でも高いところから降りるのは苦手なところ・・・。ライオンは、猫に比べて凄みがあるのですが、案外おっちょこちょいで笑ってしまいます。
さて、突然ですが、ここで問題です。猫はご機嫌なときに尻尾を立てて近づいてきますよね。では、ライオンは尻尾を立てるでしょうか?ライオンのご機嫌な時って、どんなとき?ご機嫌なら、誰に向かって近づくの?先端にしか毛がないせいか、猫よりもしなやかな尻尾に見えるけど?体長に対する尻尾の割合が、ライオンは猫よりも大きい気もするし・・・?
謎は深まりますが、答えは、この写真集にあります。ぜひ、手に取ってじっくりと見てください。このほかにも、きっと気付くことがたくさんあるはず。楽しい時間を過ごせる写真集です。
書籍情報
ネコライオン 岩合光昭 (株)クレヴィス 2013年