猫は守る、でも人は斬らぬ~「猫侍」の紹介

こんにちは、ママです。毎朝起きるとゾーイとウーゴが遊んでもらおうと、ママを包囲します。最近そのペースが速いような・・・。まだ寝ぼけているママがソファーに座ると、すぐに催促が始まります。寝起きでじゃらしを振るの、大変なんだよ~。って言っても、二人にはわかりません。「ママどうして遊んでくれないの?」と恨みがましい目までされます。

しかたがないので、ママはどっこいしょ、と立ち上がって、じゃらしを振り、ボールを投げます。もちろん、二人の気に入るように。これが結構大変なんですよね。でも、二人が寄ってきてくれるこんな時間は最高!ママは一生懸命、目覚めます。

さて、今回は映画「猫侍」の紹介です。以前何かでこの映画のことを知った時、ママの好きな北村一輝さんが出ている映画ということで、興味を持っていました。それから見る機会が持てないままここまで来ましたが、先日満を持して観てみました。北村さんのお侍さん役、どこか影がある感じ。猫を抱いている姿はまるで時代劇「子連れ狼」のよう(ちょっと古いかな?)。どんな映画なのかしら?

「長、半、そろいました」。さらしを巻いた男の人ちょんまげもいれば坊主頭もいます。江戸時代の賭場、怖いな。と、そこへ猫の声。かわいい子猫が横切っていきました。賭場と子猫、ミスマッチな気もしますが、賭けの前の緊迫した場面にかわいい子猫が出てきて、ちょっと安心しました。

「すまねえな、ちょいとまってくれや」とデレデレの声。賭場を取り仕切っているやくざです。片手で子猫をひょいっと持ち上げて、賭けを続けようとします。やくざの人、猫好きなんですねぇ~。でも、いかさまなのではないかと抗議の声が上がります。言ったのは、どうも浅からぬ因縁のある相手のよう。切ったはったになろうとしていたところに、とりなす低い声。お侍さんのようです。いったい誰なのでしょう?

元加賀藩士、斑目久太郎。北村一輝さん演じる斑目は、とっても切れ味鋭そう。またの名を、「まだら鬼」。相当剣のたつ人なんでしょうね。妻子あり、おとめ座、B型・・・?って、これ、コミカルな映画なの?

元加賀藩士で現在浪人に落ちぶれてしまった斑目は、どうして江戸でひとり暮らしをしているのでしょう?しかも、長屋で。糊口をしのぐために傘張りの内職をしています。何か深い事情があるのでしょう。斑目は、招き猫に手を合わせます。招き猫は幸せを招く縁起物、その日平穏に暮らせることを祈っているのかな?それとも心願成就を祈っているのかな?と思ったら、それ、貯金箱でした。でも、ひっくり返してみても、数枚の小銭しか出てこない。相当困窮しているようですね。

そんな中、先日のやくざが訪ねてきました。怖いお兄さんが大勢で来て、怖い!ちゃきちゃきの言葉でまくしたてます。が、言っている内容は、「犬が好きか、猫が好きか?」で、ちょっと拍子抜け。見かけ怖いくせに、何でそんなことを聞くのでしょう?「もしかして、馬鹿?」さわらぬ神にたたりなし、と戸を閉める斑目。でも、「三両」という言葉を聞いて、スッと戸を開けます。どんな依頼が来たのでしょう?

依頼をしたのは米沢一家のやくざたち。長年のライバルの相川一家との争いは、犬派と猫派の戦いだったそうです。新しいお奉行様が猫好きなため、焦っているよう。さらに、お奉行様の猫と相川の猫玉之丞が縁組することになり、犬派の米沢一家は、きっと自分たちはつぶされる、と恐れているということでした。だから、縁組をつぶすために相川の猫を斬ってほしい、と・・・。

え~、猫ちゃん、斬っちゃうの?!そんなのだめ~!斑目は、三両から五両に値段をつり上げられ、武士を馬鹿にするなと心の中で怒ります。でも・・・、「武士たるもの、あそこまで頼まれれば、断れぬ」と言い訳をしつつ、夜になってから、お奉行屋敷を偵察しに行きます。

相川一家は、猫番(猫の用心棒)を雇っていました。お酒を飲んで、へなちょこそう。でも、斑目を簡単に見つけ、剣を突きつけます。斑目と一触即発になったら、またへなちょこに戻って、「前金ももらっているし」と猫をあっさり譲ります。

相川の屋敷にいた玉之丞は、真っ白くて少しあんがり目のかわいい女の子。厚畳に敷かれたお布団の上におっとりと鎮座しています。場面が変わって、お布団の上には血だまりと、切れた首輪が・・・。猫ちゃん、殺されちゃったのでしょうか?相川一家は、急いで代わりになる猫を探します。

相川一家を訪ねたお奉行様、代わりの猫ちゃんにちょっと違和感を持つものの、言いくるめられてしまいます。でも、玉之丞は真っ白い女の子だったのに、代わりの子の尻尾にはシマシマがあるし、しかも男の子だし、いくらなんでもわかるでしょ?と思いますが、お奉行様がいい人すぎるのか、それとも本当はあまり猫にかまわない人なのか・・・?それにしても、玉之丞、本当に死んじゃったの?

この、猫の縁談ドタバタ話、斑目の加賀藩時代の回想や家族への思い、相川一家の猫番改め米沢一家の犬番になった剣の使い手島崎新右衛門と、彼を探し求めていた相川一家の新しい猫番前場新助の過去などを交えながら、元気よく進んでいきます。さて、結末は・・・?

この映画に出てくる玉之丞、「あなごちゃん」という役者猫ちゃんが演じているということで、一時大きな話題になりましたよね。斑目が斬ろうとする瞬間にちらっと見上げるところなんか、売れっ子猫役者ちゃんらしい風格が漂います。

あなごちゃんの他にも、さくらちゃん(大人)と、もう一人さくらちゃん(若い子)と、トリプルキャストだそうです。動物にはストレスの大きいお仕事だから、製作陣も万全の態勢で臨んでいるんですね。でも、玉之丞を抱っこしながらの殺陣、猫ちゃんがちょっと怖そうで、見ていてかわいそうな感じもしました。大人の男の人が大きな声を出しながら頭の上で剣を振り回していたら、いくら役者ねこちゃんでも怖いですよね。シーンを手早く取り終えて、終わった後、十分ケアされたことを祈ります。

この映画は、主演の北村一輝さんの他、戸次孝幸さん、寺脇康文さん、津田寛治さん、洞口依子さん、斉藤洋介さん、小野寺昭さん、青木陽介さんなど、「大物」がたくさん出ています。戸次さんのやくざ役や寺脇さんの「普段へなちょこに見えるけれど、実はすごい剣士」ぶりは板についています。そして何よりも、斉藤洋介さん、小野寺昭さんの、動物への愛情たっぷりなそれぞれの一家の親分役は、さすがです。

明るいコメディータッチの映画「猫侍」、空いた時間に気軽に見ることができます。いかがですか?

映画情報

猫侍 渡辺武・山口義高監督 AMGエンタテインメント 2014年

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