ほのぼのとしたお家にお邪魔しまーす!~「まめねこ」の紹介

こんにちは、ママです。今回は、漫画「まめねこ」の紹介です。これまでに10巻刊行されています。以前「ねことじいちゃん」を紹介しましたが、「まめねこ」は同じ作者「ねこまき(ミューズワーク)」さんの作品です。絵がほのぼのとしていて、癒されますよね~。線の少ないシンプルな絵なのに、どうしてこんなに猫の表情を描ききれるんだろう?

舞台はとある一軒家。そこに住む女の子が友達から二匹の子猫をもらってきました。名前は、あずきとだいず。あずきは姉御肌だけれど乙女なところもある女の子、だいずはおとなしくて食べるのが大好きな男の子。きょうだいやお母さんが見つからなくて、泣きながら探します。見つからないまま疲れ果てて眠ってしまいましたが、探していたのは自分たちが運ばれてきたキャリーケースのほんの近く。きっと、子猫には大冒険だったに違いありません。ちょっと胸が痛い。

つけてもらった名前が気に入らず、二人で文句を言います。あずき「私イヤやわっ あずきなんて~」。だいず「せやせや なあ~あずき~」と、早速名前を呼んで、怒ったあずきにペチンとされます。するとだいず、「ごめん あんず」。今度は名前を間違えます。やるな、だいず。

お家の中で、二人は早速ヘンな生き物を見つけます。毛がなくて、ラクダの上下を着ていて、もぐもぐ何かを食べている。「めっちゃヌーディーやな」と観察します。そこへ、どなたかお客さんが。するとその生き物、毛(カツラ)を頭の上に載せます。なーんだ、これならあずきもだいずも知ってる。「おっちゃん」や。

子猫の毎日は、きっと、そんな風に展開されていくんですね。ゾーイやウーゴが我が家に来た時には、どんな大変なものに遭遇していたのでしょう?時々、自分が遊んでいた紙のボールや落ちていたハンカチなど、本当に他愛もないものに、背中を山にして脅かし歩きをしながら向かって行ったものです。何がどんな風に見えていたのか、ゾーイとウーゴにぜひ聞いてみたいです。

この家には、飼い主の女の子の他、お母さんの「もじゃ」、お父さんの「座敷おやじ」、お兄さんの「メガネ」、メン鶏の「ニワ子」がいます。先ほどのラクダのおっちゃんは、おじいちゃんの「肌色」です。「もじゃ」は、スキあらばあずきとだいずをよそへあげてしまおうとしていて、油断がなりません。「座敷おやじ」はもじゃには頭が上がらないようで、気配を消すのがとっても上手(ここの描き方、最高です!)。でも、あずきとだいずが「座敷おやじ」を構いすぎて「もじゃ」に見つかってしまい、用を言いつけられてしまうことも。

「メガネ」は美少女キャラや特撮ヒーローものが好き。木の上から落ちたあずきやダイズを体で受け止めた(というか、歩いていたら落ちてきた)命の恩人です。落ちてびっくりした二人に引っかかれるという、衝撃の初登場でした。でも、二人は「メガネ」の大切にしているフィギュアを引っ張り出してしまったり、メールに「ccccccccccccccccc」と打ってちゃんと送信までしてしまうなど、恩をあだで返すような仕打ち。というか、子猫のみずみずしい感性というか(笑)。「猫あるある」ですね。

ゾーイはキーボードをあえて外して通る気遣いの持ち主ですが、ウーゴはママが食べ終わったプリンのスプーンを盗もうとしたり、ママがお仕事をしているキーボードの上で立ち止まって、いろんな文字を打ち込んだりします。きっと、猫にとってキーボードって、踏むとへっこむし、カタカタ音がするし、気持ちいいのではないでしょうか。

あずきとだいずは、初めこそ遠目で見守っていたけれど、「肌色」が大好き。夜はいつも、カツラで遊んでボロボロにしたり(「肌色」かわいそう)、足の間で眠ったり。きっと、お年寄りだから穏やかだし、お布団の中はあったかいから、安心してなついちゃうんでしょうね。

途中から、豆之介という柴犬が登場します。飼い主だったおばあさんが亡くなってしまい、里親を探す間預かることになったのです。散歩させているうちに「座敷おやじ」が情が移って離れられなくなります。でもそこは昭和男児、誰にも言わず、豆之介の幸せを願って身を引く決心をします。結局どんでん返しがあるのですが、そのくだりでは、「もじゃ」と「座敷おやじ」夫婦のぬるま湯のように心地いい愛情が泣かせます。「もじゃ」、いい人じゃない!

豆之介は、猫と一緒に飼われていたからか、自分のことを猫だと言って譲りません。でも、綱に絡まって動けなくなったり、何とかしようとして余計ドツボにはまったり、雷から身を隠すのに人の足の間に顔をすっぽり入れたり、スキあらば水たまりで遊ぼうとしたり(そして泥だらけになって怒られる)・・・。本人は不服でしょうが(笑)、ちゃんと犬として描かれています。

豆之介は、いつかおばあさんがお迎えに来てくれると信じています。あずきとだいずの家に慣れてからも、時々おばあさんのことを思い出しています。ああ、かわいそう。事情が分からない動物は、いつもこうして信じているんですね。なんだか切ないです。

子どもの頃、お店の前の木に犬がつながれていて、中でお買い物をしている飼い主を待っているのを何度か見たことがあります。当時は多かったですよね。ママは子どもながらに、「ワンちゃん不安じゃないのかな?どうしてすぐに戻ってくるってわかるのかな?」と心配になったものでした。

豆之介にはかわいそうだけれど、これが現実。どうかあずきとだいずのお家で幸せになってもらいたいです。おばあさんのことを忘れる必要はないけれど、子猫たちと遊んで、お父さん(「座敷おやじ」)には愛されて、ここだって、そんなに悪くないでしょ?

ねこまき(ミューズワーク)さんって、猫だけじゃなくて、犬の描写も本当に上手。ママがよく知っている犬のしぐさはもちろん、ちょっとした顔の向きとか力の入れ方とか、いかにも「犬」なんです。シンプルな絵なのに、どうしてこんなに細かいんだろう?きっと、猫も犬も大好きで、よ~く見ているんでしょうね。それに、動物を飼う上で起こりうる別れにも真正面から切り込んでいて、ただのほほんとしている漫画ではないところが、またすごいと思うんです。

この漫画では、あずきとだいずの家での穏やかな毎日が淡々とつづられています。使い古した靴下であずきとだいずにぬいぐるみを作ってあげる「肌色」、「メガネ」のフィギュアを盗んで庭に埋める豆之介、気持ちいい縁側で犬猫ともどもみんなで昼寝をしてしまい、警察に「全員意識不明」と通報されたり、飼い主の女の子がほろ苦い失恋をしたり・・・。よくある日常、「こんなことがあったらいいのにな」という日常が、大きなコマどりとシンプルな絵の中に切り取られています。

でも、カメとかハトとかキバタンとか、どんどんいろんな動物が増えていくのが、ママは気になります。このままいくと、日本の家庭の中で一番「生物多様性」に富んでいるお家になりそう。それに、「メガネ」のその後も気になります。

いろいろ魅力的な人が出てくるけれど、ママは「もじゃ」が一番好きです。がさつだし、初めはあずきとだいずをよそへあげてしまおうとしていたし、だいずのお気に入りのぬいぐるみをたき火にくべてしまうような無神経なところはあるし、旦那さんのことはぞんざいに扱うし、一見するとあまりいいキャラではないように思えます。

でも「もじゃ」は、晩ごはんに使おうと思っていた土鍋の中であずきとだいずとぬいぐるみがスヤスヤ寝ているのを見ると、晩ごはんの献立を急きょ変えて、しかも事情を家族には言わないような男前なところもあるんです。なんだかんだ言って、根っこは優しい。いわゆるハードボイルドなんです。ママはこういう人を見ると、本当にカッコイイと思ってしまいます。

各巻の最後には、あずきとだいずの家の間取りが紹介されています。「なぞの部屋」って、何があるんだろう?気になります。

あずきとだいず、本当にかわいいです。のほほんとしたい人に、おススメの漫画です。

書籍情報

まめねこ 1巻 あずきとだいず さくら舎 2013年

まめねこ 2巻 ごはんだよ~ さくら舎 2013年

まめねこ 3巻 こらっ!こらっ! さくら舎 2014年

まめねこ 4巻 まめのすけでござる さくら舎 2014年

まめねこ 5巻 なになに?これな~に! さくら舎 2015年

まめねこ 6巻 狸根入りの術 さくら舎 2016年

まめねこ 7巻 おじゃま三兄弟 さくら舎 2016年

まめねこ 8巻 いやいや、まさか~ さくら舎 2017年

まめねこ 9巻 またへんなのきたでこれ さくら舎 2018年

まめねこ 10巻 あずきちゃんとだいずちゃん さくら舎 2019年

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