イギリスの家庭はこんな感じ~「ソフィーと黒ネコ」の紹介

こんにちは、ママです。こんにちは、ママです。最近、ウーゴの甘え方が変わってきました。ソファーに座っているママの体の上にどっかりと座りこんで、ゴロゴロいうんです♡以前からフミフミはよくしてくる子でしたが、最近は、一度座り込んだら40分ぐらい動きません。

ママが姿勢を変えてもどこかに行くこともなく、上手にバランスを取りながら自分も座る位置を変えます。パパはちょっとうらやましそう。へへーん、これ、ママの特権。でも、パパは、ゾーイに熱烈歓迎されているから、お互い様。

さて、今回は、児童向け文学作品「ソフィーと黒ネコ」の紹介です。主人公は5歳の誕生日を迎えたソフィーという女の子。自分の部屋の壁には、四枚の絵。牛、メンドリ、ポニー、豚。お母さんが書いてくれました。それにしても、なんでこの絵なんでしょう?女の子なら、とステレオタイプにはめるのはよくないですが、猫とかお花とかは好きではないのでしょうか?ソフィーは、「女牧場マン」になるのが夢なんです。

それを言うなら、「牧場ウーマン」なのでは?というツッコミは置いておいて、そっか~、牧場が好きなのね。だから、牛やメンドリの絵なんだ。ソフィーは意志の強い子です。だから、家族はみんな、ソフィーが大きくなったら夢をかなえて、「牧場ウーマン」もとい、「女牧場マン」になると信じています。

ソフィーの誕生日はクリスマスの日。だから、プレゼントを二つずつもらいます。お父さんとお母さんからは、牧場の模型と牛やメンドリのおもちゃ、二人のお兄さんたちからは、黄色いトレーラーがついた、真っ赤なトラクター。お兄さんたちは子どもでお金がないので、トラクターが誕生日プレゼントで、トレーラーがクリスマスプレゼント。みんな、ソフィーの夢を応援します。温かい心づかいのプレゼント。

牧場の模型やトラクター、メンドリのおもちゃで遊んでいるうちに、家族とちょっと言い争いになってしまいました。あ~あ、せっかくのクリスマスと誕生日なのに。でも、子どもはよくありますよね。ソフィーはプンプンしながら庭に出て、「マッタク、ワカランチンだねぇ!」と怒ります。すると、「ネエェー!」と返事が聞こえました。見ると、塀の上に、大きな丸いオレンジの目をした、まっ黒い猫がいました。

「どこのうちの子なの?」と聞くソフィーに、「ソフィーノ、ニャン!」と返事をするネコ。たぶんそういったのではないと思いますが、「女牧場マン」を目指すソフィーはまず、猫にごはんをあげようと思いつきます。クリスマスは、みんなおなかいっぱいにならなくちゃね。ソフィーは猫にトムと名付けて、牛乳で乾杯します。ちなみに、トムというのは、オスだから。英語では、雄猫のことをTomcatといいます。

猫を見つけて「外に出しなさい」と怒るお母さん。ソフィーは自分も長靴をはいて、オーバーを着てきました。外は寒いからね。ソフィーは自分も外に出るつもりなのです。外に出るときに、お母さんをジロリと見て、一言、「でもさあ、ネコだって、外に出たらさむいよね」。・・・まったく、5歳のソフィーは大したものです。生き物が本当に好きなんだね。

紆余曲折を経て、お母さんがくれたものは、大きなオレンジ色の目をした、小さな黒猫のお人形。お母さんも、粋なことをしますね。こうして、トムはソフィーの猫になりました。

この物語は、一般的なイギリスの家庭を舞台に描かれています。玄関ホールには大きな時計、クリスマスには暖炉のそばに大きなツリー。庭や物置小屋があるところを見ると、ロンドンのような大都市の住宅街に住んでいるのではないのかもしれません。末っ子のソフィーと、ソフィーをからかうお兄ちゃん。こんな光景も、イギリスの家庭ではよく見る光景なのでしょう。

でも、ママはこの本を読んで、デジャブを覚えました。ソフィーと似ている女の子が出ている映画、どこかで観たことがあるような・・・。そう、スウェーデンの「ロッタちゃん」シリーズです。「ロッタちゃん はじめてのおつかい」や「ロッタちゃん 赤いじてんしゃ」を見た人も多いと思います。ロッタちゃんは、自己主張が激しくて、大人には理解しにくい理屈があって、大人から見ればちょっと「メンドクサイ」子ですよね。

ロッタちゃんには、お兄ちゃんに言い負かされて隣のベルイおばさんの家の物置に家出をしてしまったりするシーンがありますが、これがソフィーでも同じことをしそう。ママも子供のころは好きなものと嫌いなものがはっきりしていて、セーターの袖についていたイチゴやサクランボの編みこみが、「コドモっぽく」感じられて、それを着させられるたびに激しい抵抗をしていました。ママのママに「これ、かわいいじゃない」と言われても、頑として受け入れなかったのを覚えています。

でも、一方でママには気にしすぎなところもあって、ロッタちゃんとはちょっと似ているところがあるけれど、ソフィーとはちょっと違うタイプでした。来年5歳になる我が家のゾーイは、もっと「少女」。素直だでこだわりはなく、ロッタちゃんのような繊細さも、ソフィーのようにどっしりした感じもありません。女の子って、いろいろいるんですね~。

ソフィーは冬休みが明けたら学校へ行きます。イギリスのパブリック・スクールでしょうか。ブラウスにベスト、プリーツスカートをはいて、黒い靴下と靴を履いているソフィーは、なかなかかわいいじゃない。未来の「女牧場マン」には見えません。

でもソフィーは不満そう。どうしてスカートをはかなきゃいけないの?「せいふくを着なくちゃいけないなんて、ワカランチンだよ!」と不機嫌顔。ワカランチン、なんて、意味は分かるけれど、イギリスの下町言葉なのかしら?やっぱり「女牧場マン」が似合うな。

学校で友達もできました。大食いのダンカンと、永遠のライバルのドーン。ダンカンは優しい性格で、ドーンは、ソフィーとは違って、見るからに「女の子」。しかも、ドーンも気の強い女の子で、ソフィーとは気が合いません。ダンカンを巡って、火花を散らします。

ところで、トムは、初めにソフィーの飼い猫になって以来、時々姿を見せる「外ネコ」になっているようです。男勝りのソフィーと会話している様は(と言っても、ソフィーの脳内ですが)、男同士の友達のよう。ソフィーの日々と、ソフィーの家族と、トムが時々交錯しながら、毎日が楽しく過ぎ去っていきます。でも、ソフィーの一番の味方のアルおばさんの知恵のおかげで、トムにも新しい生活がやってきました。5歳のソフィーと81歳のあるおばさん、なかなかいいコンビです。

おしゃまというのとは違うけれど、自分をしっかりと持っている5歳のソフィー、ママの目にはとっても頼もしく映ります。学校でのお絵かきはもちろん、牧場。家族に「これは何?」と聞かれても、「ブタに決まってる」と動じません。フンの山だって描いちゃいます。現実的な「牧場経営」ですね(笑)。

この物語、ロッタちゃんの映画のように、ソフィーの毎日が描き出されます。山場があるわけでも、大きなメッセージがあるわけでもありませんが、ソフィーが5歳なりに精いっぱい行動する様やものごとを感じて追っている様が生き生きと描かれています。ソフィーと同じ年代の子供は、この本を読んで、どんなことを感じるのでしょうか。また、最後にはおっとびっくりしてしまう「どんでん返し」があります。ぜひ、手に取ってみてください。

書籍情報

ソフィーと黒ネコ ディック キング=スミス 評論社 2004年

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